K. SHUN

2020年5月11日3 分

仮想環境へのシフトを考える(2)仮想環境で働くことのメリット・デメリットの整理

最終更新: 2020年5月29日

本エントリーはVWL.のTwitterで記載したVirtual Workplaceに関する学術文献を簡易的にまとめたものです。その他の文献情報については、Twitterをフォローいただければと思います。


 
今回のテーマは「仮想環境で働くことのメリット・デメリットの整理」です。
 

 
仮想環境で仕事をすることは、どのようなメリットをもたらし、どのような課題やリスクを生み出すのかを考えるうえで有益な先行研究を紹介します。本エントリは今回のテーマに沿った先行研究から知見を抜粋し、簡易的にまとめたエントリーです。
 

―――――

■バーチャル環境における仕事のメリット

バーチャルチームのメリット  

・専門知識や能力ある人材を収集し、特定の問題と対峙させることができる

・異なる文化・異なる商習慣の統一

・コスト削減 ・サイクルタイムの短縮

・(権限委譲による)意思決定や問題解決能力の向上

Kayworth and Leidner (2000)
 

 

バーチャルな環境で仕事をするメリット

・従業員の自律性が向上

・仕事のタイムマネジメント能力の向上

Sparrow (2000)


 

バーチャルな環境で仕事をするメリット

・通勤時間の削減

・交通費の削減

・ストレスレベルの軽減

Brunt & Moloney (2001)


 

バーチャルな環境で仕事をするメリット

・タレントマネジメントの達成

・専門知識を持った人材を容易に集結できる

Sole, Edmondson (2002)
 

 

バーチャルな職場環境は、次のメリットをもたらす。

・生活の質の改善

・コミュニケーションの活性化

・経済的な側面の効率を高める

・育成の質の改善
 
社会を再構築する上で重要な役割を果たすことができる

Harpaz (2002)

仕事に対する総合的な満足度は、リアルよりもバーチャルチームの従業員のほうが高いという結論を提示。
 
Shailaja(2014)

<解説>

仮想環境における仕事には複数の利点が報告されています。 これらの結果を踏まえ、私たちは「バーチャル=良いもの」と認識するだけではなく、それらの利点を最大限に獲得するための準備に目を向ける必要があります。安易に導入することでリスクも生まれる可能性があるためです。

―――――

■バーチャル環境における仕事のデメリット


 

仮想環境における仕事のネガティブサイド 仮想環境における業務遂行は、満足度には影響しないという報告を提示している。

Webster-Trotman (2010)

テレワークにおけるリスク

・テレワークは、社会的相互作用が生まれにくい。

・そのため、孤立感を増幅させる環境となってしまう。

Golden (2001)

仮想環境における孤立は、従業員のエンゲージメントにネガティブな影響を与える。

Russell and Steven (2013)

テレワークにおいて孤立感が高まる要因  

・個人的な交流の欠如

・周囲と交流可能な学習機会の欠如

・メンタリング不足

Cooper and Kurland (2002)


 

<解説>

仮想環境において仕事をすることは、コスト削減やタイムマネジメントなど、メリットは多く報告されています。一方で、孤立感から生じる職務不満やエンゲージメントの低下などデメリットも多いようです。

―――――

<まとめ>

今回の緊急事態宣言によって、テレワークを経験した人は多いでしょう。その経験を記録したり、振り返ることが重要だと考えます。
 

 
テレワーク時に何が自分のパフォーマンスや意欲を停滞させていたのかについて、同僚や上司と共有・学習し、チームの知見とすることをお薦めします。

経営メリットや社会背景を踏まえるならば、今後、仮想環境におけるシフトはさらに推進されるでしょう。 その際に、今回の経験とそこから学び出された知見が実現性の高い有効な戦略構築につながると思います。
 

 
特にHRMの担当者は、従業員のリモートワーク経験に関してデータ収集し、自社の課題を特定しておくことが求められます。

―――――


 
本エントリーはVWL.のTwitterで記載したVirtual Workplaceに関する学術文献を簡易的にまとめたものです。その他の文献情報については、Twitterをフォローいただければと思います。


 

VWL.Twitter @LabWorkplace

最新のReference情報はこちら

    320
    1