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仮想環境へのシフトを考える(3)テレワークの孤独とワークライフコンフリクト

最終更新: 5月29日

本エントリーはVWL.のTwitterで記載したVirtual Workplaceに関する学術文献を簡易的にまとめたものです。その他の文献情報については、Twitterをフォローいただければと思います。

今回のテーマは「テレワークの孤独とワークライフコンフリクト」です。仮想環境で仕事をすることは、どのようなメリットをもたらし、どのような課題やリスクを生み出すのかを考えるうえで有益な知見を紹介します。

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■テレワークのネガティブな側面を意識する


テレワークは、自分の労働時間を管理できる。

そのため、働き方に柔軟性があり、満足度が高く、ストレスが少なく、結果的に生産性の高い従業員を生むという多くの効果が報告されている。 Sturgeon (1996)

テレワークは従業員の生活の質を向上させ、ワーク・ライフ・バランスを向上させるというのが通説として浸透している。しかし、 全ての従業員にメリットがあるかどうかについては、文献ではコンセンサスが得られていないと指摘されている。 Younghwan (2018)

これまでの研究の対象となったテレワーカーの多くが自ら選択してテレワークに従事している人々である。自分の働き方を正当化しようとするバイアスが働くと指摘。 Lynn (2003) <解説>

テレワークやリモートワークに関する一般的な言説を確認すると、良い側面にフォーカスした情報が多いようです。従来の職場環境での業務と比較して、個人にも組織にも良い効果があるという言説が多いようです。 その一方で、職場から離れて働くことのデメリットも多く報告されています。テレワークを推進する場合は、これらのデメリットに対する対策も考慮して進めていくことが求められます。 ――――― ■テレワーカーのストレス

テレワーカーは、オフィスワーカーよりもストレスを主観的に感じていることを指摘。メンタルヘルス値に有意差があり、テレワーカーの方が不健康を知覚していると報告。 Lynn (2003)

オフィスから離れて仕事をすることによるネガティブな効果を指摘している。

・孤独感が増す

・テクニカルサポートがないことの不満

・プライベートな活動をすることの罪悪感

・仕事が家庭生活に与えるネガティブな影響への憤り

 Mann et al. (2000)

在宅勤務者は特別扱いされやすく、職場のメンバーから「見えない」「意識されない」状態に置かれる。管理職と顔を合わせる時間が少なくなるリスクが発生する。 ・評価の質が低下 ・昇進の機会が制限 結果、ストレスが増大する可能性がある。 Weinert, Maier and Laumer (2015)

テレワーク環境下で感じるストレスとして、 会社のメンバーから物理的に見えなくなることで、社会的地位が失われることへの不安や不満が報告されている。 Standen et al. (1999)

テレワークでは、仕事と家庭の役割の葛藤が増加する可能性を指摘。 ・役割の間に「境界線」がないことに起因している。 ・Work-Family Conflictという観点から、テレワークを注目する必要がある。 Standen et al. (1999)

オフィスワーカーはオフィスという物理的・時間的な区切りがある。しかし、テレワーカーは仕事から「切り替わる」ことができないことを指摘。  Lynn (2003)

調査対象者の過半数以上が 「通勤時間の有益性」を感じていることを報告。 Ellison (1999)

家族の支援は、身体的および精神的な不健康を減少させることができる。 Beehr and McGrath (1992) ――――― <まとめ> 「テクノロジーを用いた先進的な取り組みであり、生産性が高く、組織も従業員もWin‐Winになれる」このようなイメージで語られることの多いテレワークですが、リスクやデメリットも多く報告されています。 特に多いのは、下記です。

・孤独感によるストレス ・ワークライフコンフリクト これらは、次の要因で生まれる問題です。

(1)利害関係者とのコミュニケーション機会が少なくなる。

(物理的に孤立するだけでなく、意識的にも忘れられやすくなる) (2)仕事と家庭の物理的境界線がなくなる。 テレワークを推進するうえでは、企業(管理者)とテレワーカー双方が環境を整備することが重要です。 ・(企業)コミュニケーションを定期的に取り、フィードバック機会を設定する。 ・(個人)仕事とプライベートの意識的(あるいは空間的)な「スイッチ」をつくる。 テレワークゆえに、個人に職場環境の構築を任せてしまいがちですが、効果的に推進するならば、これらの戦略的な設計が必要です。


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