検索
  • VWL.

仮想環境へのシフトを考える(4)仮想環境下における信頼の機能

最終更新: 5月29日

本エントリーはVWL.のTwitterで記載したVirtual Workplaceに関する学術文献を簡易的にまとめたものです。その他の文献情報については、Twitterをフォローいただければと思います。

今回のテーマは「仮想環境下における信頼の機能」です。仮想環境で仕事をすることは、どのようなメリットをもたらし、どのような課題やリスクを生み出すのかを考えるうえで有益な知見を紹介します。

――――― ■バーチャルチームにとっての信頼の重要性 バーチャルチームにとって信頼が重要な成功要因であることを提示。 Verburg, Bosch-Sijtsema, & Vartiainen (2013) バーチャルチームが困難を克服するうえで中心的な役割を果たすものとして、信頼が研究されてきた。 Gaan (2012) 信頼は、チームメンバー間に存在する地理的・心理的な距離を橋渡しすることで、バーチャルチームを一つにまとめる「セメント」である。 Jarvenpaa et al. (1998) 従来の社会的統制(人間関係による役割規定や上司部下関係)が希薄になるため、バーチャルチームでは信頼関係が重要になる。 Cascio (2000) <解説> バーチャルチームの研究では、信頼(trust)に関する研究が進められている。遠隔な状況下では、相手を信用できるという前提が重視されます。 ――――― ■そもそも信頼とは 信頼とは… 他者の意図や行動に対して、肯定的な期待を持ち、脆弱性(相手が失敗や不具合を冒すことで自分に不利益が生まれるかもしれないというリスク)を受け入れる意思がある状態。 Mayer et al. (1995) 信頼するということは… 下記の可能性を受け入れること。 ・信頼する側(自分)のアウトカム(≒成果)を減少させる ・相手のアウトカムを増加させる可能性がある Messick, Kramer (2001) 信頼とは… 相手の動機や意図についての肯定的な仮定である。 McEvily et al. (2003) 信頼とは… 他者との関わりにおいて「過度の優位性」を取らないかどうかの度合い。 Cummings, Bromiley (1996) 参考:過度の優位性(excessive advantage)とは… 組織やグループの規範を考慮して、不合理と思われないような交渉を提示すること。 Cummings, Bromiley (1996) <解説> 要するに信頼とは、 相手が自分にとって不利益な行動(あるいは相手の利益になる行動)をとる可能性があったとしても、それを全面的に受け入れられる状態と言えます。 ――――― ■信頼を低下させる要因1 会議があまりに多いと、信頼を低下させることを報告。 Al-Anni, Marczak, et al., (2013) チームメンバーからの毎週の報告会議が、メンバーの警戒心を高め、グループ全体の士気と見通しにネガティブな影響を与えたと報告。 Piccoli and Ives (2003) 不公平、不規則、予測不可能なコミュニケーションは信頼を妨げるものと提示。 Jarvenpaa, Leidner (1999) <解説> 頻繁な会議や進捗管理は、信頼を低下させます。 一方で、いつコミュニケーションやフィードバックがあるのかも分からない状態も、信頼を低下させます。 ――――― ■信頼を低下させる要因2 文化的な距離(価値観や考え方、宗教や生活スタイルの違い)が遠ければ、信頼が醸成されにくい。 Al-Ani, Bietz, et al. (2013) 大きなチームサイズや、ルールを設定しないリーダーは信頼のボトルネックになる。 Al-Ani, Marczak, et al. (2013) 防御的ルーティン(恥ずかしさやリスクの知覚から、自己開示しないで議論を回避する姿勢)は、信頼のボトルネックになる。 Argyris (2001) <解説> 信頼を低下させるものは、不確実性です。 ・自分が何をすればいいのか ・相手がどのような行動をするのか ・チームがどのように動くのか 状況がどのように変化するのか不明な時ほど、信頼を抱けなくなります。 ――――― <まとめ> テレワークで協働するということは、文字通りテレ(遠隔で)ワーク(仕事)するということです。 チームの方針やコミュニケーションのタイミングが明示的でなければ、不安や不信が生まれてしまいます。 個々の業務役割を定め、チーム規範や方針の設定していくことが求められます。


―――――


本エントリーはVWL.のTwitterで記載したVirtual Workplace に関するReferenceをまとめたものです。最新のReference情報については、Twitterをフォローいただければと思います。

VWL.Twitter @LabWorkplace

最新のReference情報はこちら

20回の閲覧

運営会社

株式会社エスノグラファー
組織調査(リサーチ&コンサルティング)、マーケティング調査を提供しています。

https://ethno-grapher.com/

©2020 by Virtual Workplace Lab.