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執筆者の写真K. SHUN

仮想環境へのシフトを考える(6)リモート環境で求められるリーダーの振る舞い

更新日:2020年5月29日

本エントリーはVWL.のTwitterで記載したVirtual Workplaceに関する学術文献を簡易的にまとめたものです。その他の文献情報については、Twitterをフォローいただければと思います。


今回のテーマは「リモート環境で求められるリーダーの振る舞い」です。仮想環境で仕事をすることは、どのようなメリットをもたらし、どのような課題やリスクを生み出すのかを考えるうえで有益な知見を紹介します。


リモート環境でチームが機能するためには、リーダーシップ(e-leadership)を発揮する人材の働きが不可欠です。今回は、チームのリーダーや上司に求められる振る舞いや資質について学術的な知見を抜粋し、簡易的にまとめています。


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■求められるリーダーの振る舞い①:情報共有・伝達のための仕組みづくり

ライティングスキル:オンラインでも意図を伝えることができる高いコミュニケーション能力

DasGupta(2011)

卓越したコミュニケーション能力が求められる。

Whitener (1998)

正確なコミュニケーションの実践

・メンバーのコミュニケーションの促進

Terence (2006)

チームの関係をつくる仕組みづくりが、積極的なチーム行動を促す。

・情報共有

・コミュニケーション

・協力

Ferrin and Dirks (2003)

ICT(情報通信技術)を活用してチーム内の信頼を生み出し、維持する能力

Malhotra, Majchrzak and Rosen (2007)

<ここまでのまとめ>

リモート環境では、情報共有がうまくいかなかったり、コミュニケーションが停滞したり、社員が孤立してモラルダウンしていしまうリスクが報告されています。 リーダーにはこれらを解消するために、


①正確な情報共有の実践

②情報が共有される仕組みづくり


が求められます。

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■求められるリーダーの振る舞い②:ビジョンの提示

優秀なリーダーの行動傾向

・“FuturePrint;” :未来予想図を提示する

・leading by values :バリュー優先の判断

・creative tension :高い創造意識

・sense of urgency :危機感

Kissler (2001)

ミッションの明示

明確な報酬とペナルティの水準を構築

業務の遂行方法を定義

Eom (2009)

thinking proactively :先見的な思考

establishing predictability :予測を立てる

Terence (2006)

<ここまでのまとめ>

リモート環境では、チームがどの方向に向かっているのかに関する情報共有が求められます。 チームの目指すべきビジョンは、メンバーが分散しているチームを統合するための重要な機能だからです。 何をすべきか?何故すべきか?を明確にして、ビジョンを提示するリーダーが求められます。

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■求められるリーダーの振る舞い③:個人の尊重と権限委譲

proximity management :近接的なマネジメント

development of people :人材支援

Kissler (2001)

コントロール権限の共有と委譲 (sharing and delegation of control)

誠実な振る舞い (behavioral integrity)

Whitener (1998)

参加型リーダーシップ :部下の活動を尊重し、意見をよく聞く振る舞い

Muganda & Pillay (2013)

仮想環境におけるリーダーは、柔軟性を持つ必要がある。

必要なときには他の人に主導権を委ねることを厭わない。

Powell et al. (2004)

applying cultural intelligence:文化的な知性

staying person-centric:人間中心主義

Terence (2006)

分散した多様性を明確に理解し、個別評価できるようにする。

個々のチームメンバーがチームから利益を得られるようにする。

Malhotra, Majchrzak and Rosen (2007)

多文化な考え方 :メンバーの置かれた状況に対して深く理解すること。

DasGupta(2011)

ケアの実践 (demonstration of care)

Whitener (1998)

メンバーの心理状態に対する感度を高く持つこと。

DasGupta(2011)

<ここまでのまとめ>

リーダーは、各地に分散したメンバーが置かれている状況について深く理解し、個々の状況に応じた対応や評価が求められます。 個人を尊重し、権限を委譲しつつ、状況に応じて柔軟にサポートする姿勢が求められます。

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■求められるリーダーの振る舞い④:メンバーの社外へのプロデュース

organizational mind share :組織意識

resistance and air-cover :組織に対する抵抗や保護

organizational alignment :組織との連携

Kissler (2001)

チームのメンバーを社外にもプロデュースしていくこと。

Malhotra, Majchrzak and Rosen (2007)

<ここまでのまとめ>

リーダーは、チーム内に対して配慮するだけでなく、チーム外に対しても働きかけていくことが求められます。チームのパフォーマンスを最大化するために、時に組織からチームメンバーを保護したり、交渉やプロデュースを行うことも求められます。

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<まとめ>

リモート環境において、チームには高い不確実性(不明瞭さ、情報不足感など)が存在していると言われます。それを解消するための全ての取り組みがリーダーや上司に求められる振る舞いなのでしょう。つまり、以下のような振る舞いが求められます。

①チームの方向性や目標を明示

②メンバー同士の交流を促す

③個々のメンバーの状況を理解

④組織外の状況にも配慮する

かつてのリーダーシップと本質的な役割は変わりません。

しかし、これらの振る舞いを、 直接的・対面的なコミュニケーションをとらずにテクノロジーを活用しながら推進していくわけですから、さらに高い能力レベルが要求されるのでしょう。 リモート環境へのシフトに応じて、リーダー自身もスキルアップをしていくことが求められています。


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本エントリーはVWL.のTwitterで記載したVirtual Workplace に関するReferenceをまとめたものです。最新のReference情報については、Twitterをフォローいただければと思います。


VWL.Twitter @LabWorkplace

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