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仮想環境へのシフトを考える(1)仮想環境で働くことの意味とねらい

最終更新: 5月29日

本エントリーはVWL.のTwitterで記載したVirtual Workplaceに関する学術文献を簡易的にまとめたものです。その他の文献情報については、Twitterをフォローいただければと思います。

今回のテーマは「仮想環境で働くことの意味とねらい」です。 仮想環境で働くことや、仮想環境での職場を用意することがどのようなメリットを生み出すかについてまとめています。

――――― ■仮想性(Virtuality)とは

仮想性とは、グループが時間的、空間的、文化的、組織的に分散しているなかで、コミュニケーションをとる度合い。

Shin (2004) <解説> 相手と離れている(距離的にも文化的にも)のに、たくさんコミュニケーションがとれるという環境=仮想性の高い環境(仮想環境)という理解ができます。

――――― ■「バーチャルへ職場がシフトする」の意味 テクノロジーによって職場は、物理的な空間から仮想的な環境へシフトしている。Chalofsky (2010)


仮想環境における「職場」では、「仕事がある場所に人を移動させる」のではなく、「人がいる場所に仕事を移動させる」。また、いつでもどこでも必要な人や情報に接続して働くことができる。

Igbaria & Tan (2001)


仮想環境における「職場」は、社員の仕事の大部分が、経営者や上司の職場とは別の場所で行われることを意味する。

Brunt & Maloney (2001) <解説> 仮想環境で働くというころは、従来のように物理的・環境的な制約を逃れ、上司部下の「監視」されない場所で働くということを意味します。 ―――――


■バーチャルシフトの潮流と日本企業の実態

2021年までに、中堅・大企業の4分の1がバーチャルな環境へのシフト(分散型の意思決定、バーチャルワークやリモートワーク、物理的なオフィスの再設計)を成功させる。 Gartner (2019) 

100カ国に所在する3000人の管理職を対象とした調査報告。従業員の40%がバーチャルな業務に半分以上の時間を費やしている。 Hochch & Dulebohn (2017)

日本企業のテレワークの導入率は19.1%に留まる。 導入企業のテレワーク形態: →モバイルワーク:63.5% →在宅勤務:37.6% →サテライトオフィス:11.1%  総務省(2019)

日本企業のテレワークの導入率は19.1%に留まる。 導入企業のテレワーク利用率:導入企業の48.4%が「5%未満」と回答。 総務省(2019) <解説> 近年では仮想環境で業務をすることが一般的になってきています(ただし、あくまで欧米企業の場合です)。コロナ以前の日本企業に対する調査では、リモートワークの導入は一部の企業に限られています。ポストコロナ時代に入り、この数値がどのように変化していくのかが注目されています。

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■企業がVirtualな「職場」を選ぶ理由


組織はバーチャルチームへ移行する理由 (1)時間コストの節約 (2)他者とのコラボレーション Gibson & Gibbs(2006)

バーチャルチームのメリット →メンバー間の距離によって生まれるコストを気にしなくてよい。 →特定のプロジェクトに最も適した人材を含むように設計できる。 Townsend et al. (1996)

バーチャルチームのメリット 重要なタスクに、専門知識を注いだり、適用したりすることが容易になる。 Sole, Edmondson (2002)

組織がバーチャルチームを設立する際の目的 必要とされる専門知識や経験を持つ「適任者」をアサインするため。 Lipnack & Stamps (1997)

従業員は、収入を得る必要性と家族やライフスタイルのニーズを満たすことのバランスを取ることに関心を持っているため、どのように、どのように、いつ、どのように働くかについて、より多くの発言権を持ちたいと考えている。 Daniels, Lamond & Standen,(2001) <解説> バーチャルな環境へのシフトの論点として、

(1)組織的・戦略的側面:バーチャルへシフトすることで、達成することができる目標や、利用可能になる資源がどれくらい増えるのか。どれくらいのコストが減らせるのか。 (2)個人的・キャリア的側面:バーチャルへシフトすることで、社員にどのような非金銭的な「報酬」(ワークライフ双方のキャリアの達成やワークエンゲージメント等)が生まれるのか。 の2つが挙げられます。いずれも高いレベルのメリットが見込まれる場合は、Virtualを選択するということになります。


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<まとめ>


バーチャルな環境へシフトしていく潮流がきています。


それは、 ①テクノロジーの発展 ②人的資源の戦略的な活用(タレントマネジメント) ③個人のワークライフの充実を求める志向性 などの影響です。 欧米では導入が進んでいますが、日本では未だ一部の企業に限られています。


今年、コロナウイルスの感染拡大によって、日本でも多くの企業がテレワークを経験しました。この経験を踏まえて、改めて導入の必要可否について精緻に検討していくことが求められています。 自社の事業との親和性や、リスク・効能について改めて整理し、シフトについてその是非を考える。そういう人が増えていくことが重要と考えています。


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